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続 音楽療法、頑張って!   

 上田さん、お疲れ様。○○担当ですか?少しイメージが違うような・・・。
 うちの娘たちという印象なんだけど。
 少し対象の病気の方で、先日の佐藤 正之先生の文献の残りをご紹介します。
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 神経疾患への音楽療法に期待
 

 いまだエビデンスの確立していない中で,neurologyにおいて比較的報告が多いのが認知症,失語症,パーキンソン病に対する音楽療法である。

 

◆認知症:認知症の症候は,もの忘れなどの中核症状と,心理・行動上の異常であるbehavioral and psychological symptoms of dementia BPSD)に分けられる。もの忘れに関しては,音楽聴取によりアルツハイマー病患者のエピソード記憶が改善したとの報告がある。また,音楽は情動に直接はたらきかけることからBPSDに対する効果も期待されてきたが,最近の複数のシステマティック・レビューでもその有効性が確認されている。音楽療法にかかる経費は,認知症患者の一日のケア費用の70分の1で費用対効果が大きいとの報告もあり、BPSDは,音楽療法の効果がもっとも期待できる領域である。


 BPSDは、以前認知症の周辺症状といわれていた徘徊や抑うつ状態
等のことですね。今回紹介されていた回想法も、セラピーとしては
かなり熟練を要するようです。音楽療法ならではの手法もあるようです。

◆失語症:言語能力のすべてを失った全失語の患者が,歌唱の際には歌詞を流暢に唄う現象がしばしば観察される。このことから歌唱を失語の訓練に活かせるのではとの期待が生じたが,これまでの報告では単なる歌唱では効果はないか,あっても限定的である。音楽的な要素を用いた系統的な失語訓練法にmelodic intonation therapy MIT)がある。MITは音楽のリズムや節回しを利用して失語症患者の発話を改善させる方法で,米国神経学会により有効性が認定されている。本邦へは杉下守弘らのグループによって導入されたが手法の""にあたるところが文章では説明しにくいことから汎用されるまでに至っていない。


 失語症の種類にもよりますが、日ごろ言葉の出ないお年寄りが、リハビリの
レクリエーションの時、上手に歌を歌って、驚かされることは・・・確かに
ありますね。音楽と言語では働く脳の部位が異なるので、こうした現象が
おこるわけです。ただ歌を歌えばよいと言うわけではないので、一定のリズムを
つけてしゃべったり・・・というセラピストの管理が必要になるようです。


◆パーキンソン病:すくみや突進を呈するパーキンソン病(PD)患者が,床に引いた平行線を跨ぐように指示されるとスムーズに歩くことができる。その機序として,平行線が視覚的リズムとしてはたらくとする意見がある。このことから,PD患者の歩行障害に対する音楽療法が試みられてきた。筆者も「うさぎとかめ」のmental singing(声を出さずに心の中で歌うこと)がパーキンソン歩行を有意に改善することを報告した

 ある程度全身を動かすことによって、神経末端からドパミンを
分泌させ、パーキンソン病を警戒させようという試みの一つが
パワーリハビリですが、こうした運動に音楽を取り入れている
施設も増えているようです。

 

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 大学病院音楽療法室での取り組み

 

 三重大病院では,20121月に新病院に移転したのを契機に患者サービスの一環として音楽療法室が設置され,同年6月から週1日,認知症患者に対する音楽療法が行われている。

 

 具体的には,認知症医療学講座の大学院に在籍している音楽療法士が,室長の指導・監督のもと,自由診療として1時間のグループ・セッションを行う。対象疾患はアルツハイマー病が多いが,混合型認知症,レビー小体型認知症の患者もいる。目的はBPSDの発症抑制とコミュニケーション能力の改善で,各種神経心理検査と介護者からの聞き取りを通して,音楽療法による効果を評価している。取り組みは現在進行中であるが,施療者・患者・家族ともに良好な手応えを感じている。

 
以上治療に音楽療法を取り入れている、三重大学附属病院の
佐藤 正之先生の文献をご紹介しました。

     倉敷北病院医局 宮原


by medica-kurashiki | 2013-12-26 13:14 | スタッフからのメッセージ

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